未完成/現在進行形の40年 大滝詠一『EACH TIME』

 時期を逸している感もあるが、世間一般は連休モードなので大滝詠一『EACH TIME』の40周年盤について。

 毎度のナイアガラ商法という向きもいるだろうし、過去のリリース盤と一体何がどう違うのか、コアなファン以外は何に関心を持てばよいのかわからんという向きもいるだろう。大滝本人が亡くなってもう10年以上になるのに?故人はこういう状況をあの世でどう思っているのだろうか。

 本作の前作『ロンバケ』が大ヒット爆走中の1981年当時ですら、FMトランスミッター(わかるかな?)を使ってのヘッドホンコンサートを開催した御仁である。今も存命ならば複数の配信サービスを逆手にとって、配信サービス別にミックスを変えてのコンサートなどを企画しているかもしれないし、リスナーのプレイリストのセンスを競うといった場を提供したり(しかもそれをラジオ番組でやる)しているかもしれない。

 大滝所縁の音楽評論家が盤を重ねるごとにミックス違い、曲順差し替えを行うということは、本作が未完成ということだというようなことをどこかの記事で書いていた。ミックスを変えるのはCD媒体やオーディオ機器、配信サービスの高音質化に対応するためという点が大きいと思う。曲順については80年代当時もLPから「カセットテープ」に録音する段階で好き勝手にいじることができたが、制作側が意図をもって差し替えるのとは意味が違うかもしれない。

40年経っても未完成、現在進行形というのは多少持ち上げすぎかもしれないが、妙に納得してしまう自分がいる。

つい「ペパーミントブルー」を聴いてしまう真夏日の埋草エントリでした。失礼いたしました。

 

EACH TIME 40th Anniversary Edition (通常盤) (CD) (特典なし)